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Oral consultation

​食事療法
 
 
お口の健康を守るためにはどのような食事をしたら良いですか。

お口の健康を守るためには、どのような食事をしたら良いでしょうか。何か特別の食事が必要なのでしょうか。お口の健康と食生活の関係について考えてみましょう。
歯は動物が進化の過程で手に入れた体の一部分です。歯は一見すると石のように硬く、体の他の部分とまったく違うイメージがありますが、やはり、体の一部ですから、体の他の部分と調和して体を形作っています。糖分の多い食べ物はむし歯をつくりやすいだけでなく、体にとっても糖分の摂りすぎはよくありません。一般に、歯に良いものは体にとって良いものであるし、また、体にとって良いものは歯にも良いということが言えます。
しかし、現代人は誤った食生活をすることによって生活習慣病を引き起こしています。中国では昔から「医食同源」といわれてきました。科学的にも、健康と食生活との間には密接な関係があることが次第に明らかになってきました。そして、健康によいものをおいしく食べるためには、お口の健康を欠くことはできません。

従来、成人病(geriatric disease)と呼ばれていた病気は、生活習慣病と言い替えられるようになりました。生活習慣病の多くは、食生活と関係があります。生活習慣病のなかでもがんは日本人の死因のトップです。国立がんセンターがまとめた「がんを防ぐための12ヵ条」は有名ですね。その中の8つの項目が食生活に関係するもので、食生活に関してとても基本的な内容が示されています。そしてそれは、がんの予防だけでなく、他の生活習慣病の予防にもあてはまりますし、お口の健康にとっても大切な内容です。それでは、「がんを防ぐための12カ条」を見てみましょう。

 
 
人間は本来、どのような食事をするようにできていますか。

動物は、歯を見れば、どのような食べ物を食べているか、およそ見当がつきます。人間の歯は、雑食性であることを示しています。草食動物は植物ばかり食べますが、その中に必要な栄養素がすべて含まれています。残念ながら、人間には、そのような食べ物はありません。いろいろな食べ物をバランスよく食べることが大切です。1日30品目以上を目標にしましょう。毎回の食事に、主食、主菜、副菜の3品をそろえるようにすれば、自然にバランスが良くなります。

 
食物繊維をたくさん含む食品はお口の健康にも関係していますか。

5大栄養素といえば、糖質、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルを指します。食物繊維は、5大栄養素につぐ、第6の栄養素として注目されており、がんを防ぐ12ヵ条にも含まれていますね。食物繊維には、海藻、果物、こんにゃくなどに含まれる水溶性食物繊維とごぼうなどに多く含まれている不溶性食物繊維があります。食品に含まれている食物繊維の多くは不溶性のものです。1日に20gから25g程度(1食あたり7gから8gくらい)の食物繊維をとるようにしましょう。食物繊維をたくさん含む食べ物や歯ごたえのある食べ物は、歯や歯ぐきの健康にとってもプラスです。食物繊維が多く含まれている食品や歯ごたえのある食品は歯ぐきやあごを丈夫にし、歯の汚れも落とします。よくかむことは、唾液の分泌を促進します。食事のすべてをかみごたえのあるものにするとあごが疲れてしまいますね。ですから、毎食の献立にかみごたえのある食品を1品加えてください。
また、ビタミンCは歯肉を丈夫にします。ですから、新鮮な果物や野菜は歯にとってもとても良いのです。たとえば、りんご。「1日1個のりんごを食えば医者はいらない(An apple a day keeps the doctor away.)」という西洋のことわざがあり、健康に良いことが知られていますが、たくさんの食物繊維が含まれており、歯にとっても良いのです。

食物繊維はどのような食べ物に多く含まれていますか。

食物繊維の多い食品を示します(100g)。(四訂日本食品標準成分表より)
 
寒天    80.9
ヒジキ(乾燥)    43.3
干しシイタケ    42.5
カンピョウ    30.1
干し海苔    29.1
昆布    27.1
切り干し大根    20.3
インゲン豆(乾燥)    19.3
小豆(乾燥)    17.8
エンドウ豆(乾燥)    17.4
大豆(乾燥)    17.1
きな粉    16.9

 
野菜不足が心配なので、サラダを食べれば良いですか。

外食は栄養がかたよりがちです。外食をする際には、サラダを一品加えるとよいでしょう。しかし、生野菜は意外に水分を多く含んでいるので、あまりたくさんの量を食べることができません。煮物にしたり、炒めたりするなど熱を加えた料理の方が野菜をやたくさん食べることができます。また、ゴボウ、ひじき、ブロッコリーなど生では食べにくい野菜は食物繊維をたくさん含んでいます。

 
抗酸化食品って何ですか。

美食家のフランス人に動脈硬化が少ないことが以前から謎とされていました。それが"フレンチ・パラドックス"です。この原因が赤ワインであることがわかってきました。赤ワインには抗酸化作用があるポリフェノールが多く含まれています。こうした抗酸化食品が注目されています。
活性酸素は、体内に吸収された酸素が消費される過程で変化を起こし、正常な細胞も酸化させる物質です。皮をむいたりんごが、しばらくすると茶色くなるのは酸化現象の一つです。白血球は活性酸素を使ってがん細胞や病原菌を殺します。しかし、活性酸素は、がんをはじめとする動脈硬化や糖尿病などの生活習慣病の引き金となり、老化にも関係しています。活性酸素は、両刃の剣ともいえます。現代社会は活性酸素を生み出す危険因子にあふれています。排気ガス、紫外線、食品添加物、残留農薬、薬品、電磁波、ストレスなどです。
活性酸素の発生からおこる病気を防ぐ抗酸化食品が期待されています。緑茶、赤ワイン、チョコレートに含まれるポリフェノール、ごまに含まれるセサミノール、オリーブ油に含まれるオレイン酸、エビやサケの赤い部分に含まれるアスタキサンチン、大豆のイソフラボンなどが代表的です。

 
特定保健用食品って何ですか。

食品中に含まれる生体調節成分の機能を生かして作られる食品をいいます。一般に機能性食品とよばれてきたもので、厚生省は1990年11月、「食生活において特定の保健の目的で摂取する者に対し、その摂取により当該保健の目的が達成できる旨の表示をする食品」として、栄養改善法により法規制を受ける特別用途食品の一種として位置づけました。同法第12条第1項に基づき、厚生大臣の許可を受けなければならないものとして、平成3年9月1日からスタートしました。この制度は、食品に機能性を表示する世界で初めての制度として、欧米からも注目を集めています。平成9年10月現在、79商品が許可されています。ファイブミニ、明治ブルガリアヨーグルトLB81などの商品があります。

 
ついカロリーを取りすぎてしまうのですが、なぜですか。

次に、考えなければいけないのは、カロリーの取りすぎです。現代の日本では、"飽食の時代"とよばれ、食物が豊富にあって簡単に手に入る上、運動不足が重なって、肥満が増加しています。それにつれて糖尿病も驚くほどの割合で増加しています。
おいしいものはついつい食べ過ぎてしまいます。人間の体は飢餓に対応できるようなしくみがあり、余剰なカロリーを摂取した時には、それを貯えるようにできています。しかし、今日のように毎日豊富に食べ物が手に入るような環境では、せっかくのこうした働きがあることによって肥満ということにつながってしまうのです。また、現代社会ではストレスを感じることが多く、それが過食につながることもあります。人間は本能的に甘いものや脂肪分の多い食品をおいしいと感じます。しかし、おいしいからといってどんどん食べ続けると、健康を害してしまいます。飽食の時代においては、自らが食べ物を選択する必要があるのです。
しかも、日本では年々、肉の消費量が増加しています。牛肉1kg作るためには8kg、豚肉1kg作るには3.5kg、鶏肉1kg作るには2kgのえさ(牧草や穀物)が必要です。このまま世界中で肉の需要が増大すれば、牧草地を作るために森がますます切り開かれ、さらには食料危機に拍車をかけることになります。
日本人の平均寿命が長いことの理由にはさまざまなものが考えられますが、その一つが伝統的な和食といわれています。和食の良さをもう一度見直すことが必要です。

 
糖分は食べ物だけに気をつければ良いですか。

食べ物だけでなく、飲み物にも高いカロリーが含まれているものが多いことにも気をつけましょう。ペットボトルに入った飲料が普及し、これを水がわりに飲む人も増えているようです。炭酸飲料だけでなく、電解質飲料、果汁入りの飲料、乳酸菌飲料にもかなり量の糖分が多く含まれているので、注意が必要です。糖分がたくさん入った飲料を大量に飲むことによって、ペットボトル症候群といって糖尿病に近い状態になることもあります。甘い飲料でも冷やすと甘さを感じさせないので、甘味に対して鈍感となり、甘味志向が強くなります。また、缶コーヒーや乳酸菌飲料にもかなりの量の砂糖が含まれており、1本で成人の1日に必要な糖分に相当するほどの砂糖が含まれているもあります。
こうした飲料の糖分は、消化管から吸収されるのが速く、血液中の血糖値もすぐに上昇します。上昇した血糖を下げようとしてインシュリンというホルモンが分泌されて血糖値が下がり、一過性の低血糖になります。低血糖になると、立ちくらみ、めまい、心が空白になる、忘れっぽくなるなどが起ります。さらに、急激な血糖値の上昇をコントロールするために、インシュリンによってブドウ糖はグリコーゲンから中性コレステロールとなります。中性コレステロールは血管の壁にたまり、動脈硬化や心筋梗塞を起こしやすくなるといわれています。
食べ物は飲み物と違い、吸収には時間がかかるため、血糖値の上昇はゆっくりしています。血糖は体を動かすための主なエネルギーとなるものであり、低血糖が続いたりすることや、急激に大幅に変動するような食事は体にとってよくないのです。ですから、朝食をとらなかったり、夜遅くにたくさん食べたりすることは体に負担がかかります。

 
各種の飲料にはどれくらいのカロリーが含まれていますか。

100g当りのキロカロリー(kcal)を示します(四訂 食品成分表より)。
ウイスキー    250(特級)、231(1級)、225(2級)
焼酎    201(35度)、141(25度)、113(20度)
日本酒    113(特級)、110(一級)、106(二級)
甘酒    104
ワイン    75(白)、73(赤)
ビール    67(スタウト)、46(黒)、39(淡色)
果実色のもの    49
コーヒー飲料    46
コーラ    43
サイダー    37
茶    0

 
甘いものが好きなのですが、ブラッシングの注意点を教えてください。

糖分をたくさん含む飲料を一日に何本も飲むことは、歯にとっても良くありません。間食にも気をつけましょう。食べたらすぐに歯みがきをすることが基本です。おなじ甘い物でも、食べ方にも注意しましょう。むし歯の原因菌は糖分を栄養にして酸を作り、それによってむし歯を作ります。ですから糖分にさらされる時間が長いほど、むし歯になりやすくなります。お口の中にいつも食べ物がある、ダラダラ食べることはやめましょう。
むし歯をつくる条件には、細菌、食べ物、歯、時間の経過の4つがあります。この4つが重なった時、むし歯が発生すると考えられています。実験的にエナメル質が溶けるのはおよそpH5.5以下になったです。これを臨界pHといいます。お口の中は通常だいたい中性ですが、歯垢に糖質が浸透して細菌が酸を産生するとpHが下がって歯垢の中が酸性に傾きます。糖分がたくさん含まれている食べ物を食べた場合、食べた直後からpHが急激に下がり、臨界pH以下の状態が約20分続きます。再び元のpHに戻るまでに40分から60分くらいかかります。これをグラフにしたものは、ステファンカーブと呼ばれる曲線を描きます。
ですから、歯の健康を保つためには、このカーブを頭においてブラッシングすることが必要です。そのためには3-3-3のブラッシング(1日3回、食事後3分以内に、3分以上ブラッシングすること)が推奨されます。
甘い物を食べると、疲労回復に効果があります。また、間食することは気分転換にもなります。しかし、間食の回数があまりに多いのは問題です。1日3回、きちんとした食事を摂り、そこからバランスのとれた栄養をとることが大切です。歯の健康を守るために、間食した後には、ブラッシングすることを勧めます。

 
カルシウムが不足するとどうなりますか。

カルシウムは大切な働きをしています。カルシウムは歯や骨の成分であるとともに、神経や心臓にとってもなくてはならないものです。ですから、カルシウムが不足するといらいらしたり、ひどい場合には痙攣が起きたりします。カルシウム不足が長期間続くと骨がもろくなり(骨粗鬆症)、骨折しやすくなります。骨粗鬆症は、若い人の間にも増加しています。
歯にとってもカルシウム不足は大敵です。出生してから永久歯が萌出するまでの間はもちろん、成人の歯に対しても大切な働きをしています。生えたばかりの歯というのは十分に石灰化していないため、むし歯になりやすい状態で、その後、唾液中のカルシウムが歯に沈着して歯質を強化することが知られるようになりました。また、非常に初期のC0という段階のむし歯ならば、唾液中のカルシウムが沈着し、再び健全な歯に戻る可能性があることも分かってきました。カルシウムが不足しないように気をつけましょう。

 
どのような食品にカルシウムが多く含まれていますか。

1996年の「国民栄養調査」によると、成人の1日当りのカルシウム摂取量は573mgで、必要所要量である600mgに達していません。成長期にある10代では、男子900mg、女子700mgが所要量と定められています。骨を丈夫にするには、適度に運動することも大切です。妊婦中は1000mg、授乳期には1100mgとされていますので、気をつけましょう。また、高齢者では腸からカルシウムを吸収する働きが低下するので、注意が必要です。
乳製品(牛乳、ヨーグルト、チーズなど)、小魚の骨、海藻類(わかめ、こんぶ)、大豆製品(豆腐、納豆など)、小松菜やキャベツなどの野菜類に多く含まれています。毎日の食事にこれらの食品を加えるようにしましょう。カルシウムの吸収率は、小魚が約38%、海藻が約30%、牛乳が約53%であり、乳製品からはカルシウムを効果的に摂取することができます。牛乳200mlにはカルシウムが208mgも含まれ、成人1日の必要量の約1/3が摂取できます。他にも、ヨーグルト100g中に110-130mg、チーズ100g中に600-700mgのカルシウムが含まれています。
加工食品にはリン酸が多く含まれています。リン酸はカルシウムと結合し、カルシウムの吸収を妨げるので、リン酸をあまりとりすぎないことが大切です。

 
参考文献

週刊MEDIFILE Vol.65 99/1/26:P21-P24,デアゴスティーニ社.1999.
四訂 食品成分表 1999.女子栄養大学出版部.1999.
がんを防ぐ12カ条.監修 国立がんセンター 発行 財団法人がん研究振興財団.1998.

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